すこし、目を つむってごらん。
これから 旅する一枚の絵は、ただ「見る」絵じゃない。
じーっと見ていると、ほっぺに 夏の風 が あたって、まぶしい 光 が さしてくる ── そんな ふしぎな絵なんだ。
さあ、目と いっしょに「はだ」も つれて、まぶしい 浜辺へ 行ってみよう。
ホアキン・ソローリャ《浜辺の散歩》1909年 / スペイン・バレンシア
すこし、目を つむってごらん。
これから 旅する一枚の絵は、ただ「見る」絵じゃない。
じーっと見ていると、ほっぺに 夏の風 が あたって、まぶしい 光 が さしてくる ── そんな ふしぎな絵なんだ。
さあ、目と いっしょに「はだ」も つれて、まぶしい 浜辺へ 行ってみよう。
100年以上むかし、スペインの海べで。
今から ずっとむかし、100年以上前のこと。
スペインの あたたかい町 バレンシア。そこには、夏になると ぎらぎら 太陽が かがやく、ひろい 浜辺が ありました。
ある画家が、その浜辺で、白い服を きた ふたりが なみうちぎわ を 歩いている ところを 描きました。
まずは なにも 考えず、絵の中を ゆっくり 散歩してみよう。

ソローリャは「光の画家」。
この絵を描いた 画家の 名前は ソローリャ。みんなが「光の画家」と よんだ ほど、まぶしい 太陽の光を 描くのが、世界一 じょうずな 人でした。
白いドレスを よーく 見てみよう。ぜんぶ 真っ白じゃ ないよね。日のあたる ところは まばゆい白、かげの ところは うすい 青や むらさき。光と かげを ならべると、ぬのが 太陽で かがやいて 見えるんだ。
足もとの すなや 水にも、空の色が うつって、きらきら ゆれている。ソローリャは「夏の光」を、絵の中に とじこめたんだね。

作者は スペインの画家 ホアキン・ソローリャ(Joaquín Sorolla, 1863–1923)。地中海の強い陽光をとらえる手腕から「光の画家(pintor de la luz)」と称されました。本作《浜辺の散歩》(1909) は故郷バレンシアの海辺が舞台。白い衣の陰影に青・紫を置く手法で、布が陽射しに輝いて見えます。現在はマドリードのソローリャ美術館蔵。(出典: Museo Sorolla / Wikipedia "Joaquín Sorolla")
ソローリャの、まほうのような しかけ。
ここで しつもん。風 って、目に 見える?
見えないよね。すきとおっていて、形も 色も ない。それなのに ── この絵を見ると、海から 風が ふいている のが、ちゃんと わかるんだ。
どうして だろう? よく見て。ドレスの すそが ふわり と 横に ながれ、頭の うすい ベールが ぴらぴら なびいている。ソローリャは、見えない風を「風で うごく物」を 描くことで、見えるように したんだ。

いっしょに 歩く、しあわせな 時間。
じつは、絵の中の ふたりは、ソローリャの 本当の 家族。おくさんの クロチルデさんと、むすめの マリアさん だと いわれているよ。
大すきな 家族と、夏の 浜辺を ならんで 歩く。なみの音、あつい すな、ほっぺを なでる しおの風 ── ソローリャは、その しあわせな 夏の一日 を、まるごと 絵に のこしたかったのかもね。
さあ、君も はだで 感じてみよう。